私のはたらく
「失敗してもいい場」からの挑戦 30代・倉庫内作業
ジョブネット卒業生の就労体験をお伺いする、私の「はたらく」。今回は、2023年2月から株式会社横濱屋にて勤務、現在では勤務時間や業務を徐々に広げつつ、一層ご活躍中のFさんにお話を伺いました。
訓練前の「できないこと」への不安
――まずはジョブネット利用前のお話を伺いたいと思います。Fさんはたしか就労経験がおありでしたよね?
そうですね、以前は一般就労で就職活動をしていたのですが、体調を崩して面接が受けられなかったり内定を辞退したりといったことを繰り返していました。
例えば、自動車会社の営業職として勤務したことがあるのですが、営業ノルマやプレゼン・上司のプレッシャーが負担になり体調を崩してしまいました。その後出社できなくなり3か月で退職になりました。
もともと完璧じゃないと気が済まない傾向があって、「できないこと」に対して強く不安を感じ、自分で自分を追い詰めてつぶれてしまうことがありました。
――その後ジョブネットの利用を始めた経緯を教えてください
フルタイムや正社員で働くことに対して自信をなくしていたところ、主治医から障害者雇用ならどうかと提案されました。区役所で相談し、就労移行と提携している施設としてさいとうクリニックデイケアを紹介され通うことにしました。デイケアを利用する中で生活リズムを整えながら、職員と相談してジョブネットを利用するタイミングを決めました。
「ジョブネットでできることは何でもやってみよう」という気持ちで
――次に、ジョブネット利用中のお話を聞かせてください。ジョブネットを利用してみて、どんな印象をうけましたか?
環境の変化が苦手なので、はじめのうちは不安の毎日でした…笑。ただスタッフさんが話しやすくてとても助かりました。利用開始からしばらくは不安を感じたらその場で面談をお願いしたり、帰宅後にも電話で話を聞いてもらったりしました。
――ジョブネットを利用しているときに意識していたことはありますか?
まずは週5日通って環境に慣れることを意識していました。訓練中のささいな失敗で落ち込むこともあったのですが、スタッフさんに「ジョブネットは失敗してもいい場だから」と声をかけてもらってからは、「ジョブネットでできることは何でもやってみよう」という気持ちでいろいろな訓練に挑戦していました。いろいろ試すことで自分の得意・不得意の理解につながったと思います。
――特にためになった訓練はありますか?
施設外の清掃訓練ですね。はじめは緊張して行くだけでへとへとに疲れていましたが、限られた時間内での集中力・ペース配分や、周囲への配慮、用具の扱いなど、実践的なことを学べたと思います。今の仕事にもつながる部分が多く、やってよかったなと思います。
――就職活動について教えてください
ジョブネットの訓練の中で、身体を動かすことが得意、単純作業が苦にならないという自分の特徴は整理できたのですが、具体的にどんな仕事を目指すかまでは決め切れずにいました。スタッフさんとの面談で「Fさんの場合はどんどん企業実習をお願いして、自分に合う職場を考えていきましょう」と勧められ、利用開始の半年後くらいから動き始めました。 現在の職場である横濱屋もそのタイミングでスタッフさんから紹介してもらい、見学・実習からとんとん拍子に話が進み就職しました。
――就職活動の中で苦労したところはありますか?
配慮事項をまとめるのが一番苦労しましたね。どういう環境なら自分が働けるのか、職場の方にどのように伝えるかというのを、スタッフさんと相談しながらまとめました。
自分の場合は、頑張りすぎてしまうことがあるので1時間ごとに小休憩をいただきたいこと、仕事の進め方が正しいか不安が強く出てしまうため近くに質問できる方がいてほしいこと、休日に身体をしっかり休めるために定休を2日連続にしていただきたいことを面接時にお伝えしました。
役に立てていることを実感できる
――それでは、就労後のお話に移りたいと思います。お仕事内容について教えてください
倉庫内で出る商品の空き段ボールの片付けと、空き瓶やそのケースをメーカーごとに整理するのが主な業務です。
――やりがいや楽しさを感じるのはどんなときですか?
倉庫内では朝の配送のタイミングで大量の空き段ボールが出ます。量が多いので大変な部分はありますが、成果が目に見えやすいので達成感があります。
また自分が段ボールの片付けを担当することで、他の社員さんがそれぞれの仕事に集中しやすくなるので、役に立てていることを実感できやりがいがあります。
あとは職場の雰囲気がよく、挨拶をほめてもらえることが多くうれしいです。
――職場から配慮をいただいている点を教えてください
勤務時間ですが、就職時点では1日4時間だったところ、僕の希望で徐々に伸ばしていただいて、現在は6時間勤務になりました。
あとは、定着支援の中で定期的に上司に話を聞いてもらい、困りごとが出た際は調整していただいています。面接のとき伝えた配慮事項も継続してもらっています。
――今後の目標について教えてください
今意識している目標は、6時間という現在の勤務時間に慣れていくことと、まとまった休憩時間にしっかり休めるようにすることです。 将来的には、時間はかかるかもしれませんが、新たな業務やフルタイム勤務など、いろいろ挑戦していきたいです。
――最後に、これからジョブネットを利用をする方に向けて一言お願いします
ジョブネットではいろいろなことができるので、折角なのであるものをどんどん利用するのがおすすめです。一番はスタッフさんを利用することです笑。
いろいろなことに挑戦する中で、最初は大変に感じたこともいつの間にかできるようになっていたりするので、徐々にステップアップしていけると思います。就職に限らず、今の状況にプラスになることが必ずあると思うので、ジョブネットの中で自分の可能性を見つけてほしいなと思います。
弊社の倉庫では連日、段ボールの空き箱が100ケース以上、倉庫のいたる所で発生致しますので、そちらの片づけをお願いしています。もう一つの業務として、飲料を中心とした商品が棚に並んでいるものだけでも3000点ほどあり、それらを順番にですが拭いて頂いています。日頃から丁寧に行っているという印象はありましたが、最近は業務に責任感を持って当たっていると感じています。又、与えた業務以外にもゴミの片付けなどを率先して行っていることも助かっています。
そして何より社内の者から「すごく元気な挨拶をしてくれるから気持ちがいい」との声を頻繁に耳にするので自慢の社員でもあります。今後もフルタイムでの勤務を目標に頑張って頂きたいと思います。
(東神奈川営業所 商品課課長よりコメントをいただきました。ありがとうございました。)